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自覚症状がほとんどないことが高血圧の「症状」ともいえます。高い圧によって傷んだ動脈を元に戻すことは難しいため、早期からの対応が肝要です。
前述の通り、高血圧には自覚症状がほとんどありませんが、血管が高い圧力にさらされ続けることで、「動脈硬化」が進行し、血管の内腔がプラークによって狭くなったり、血管がもろく、硬くなります。すると、血管が血液の流量に合わせて柔軟に伸縮できず、ひどいときには血流に耐え切れず破裂したり、狭くなった血管に血栓が詰まったりということが起こりやすくなります。その障害が起きる場所によって「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「大動脈瘤」といった重大な合併症を引き起こすことがあります。
【高血圧の治療の目的】
高血圧の治療は、血圧を下げることだけが目的ではありません。血圧を下げ、適切にコントロールすることで、高血圧によって特にダメージを受けやすい脳・心臓・腎臓などの大切な臓器を守るということが、本当の目的です。
また、若い頃から血圧をコントロールすることはとても大切なことです。もし40歳で高血圧になり、そのままにしていたらこの先何年、血管は高い圧力にさらされることになるのでしょうか?「若いから大丈夫」ではなく、「若いからこそ大丈夫じゃない」ともいえます。
高血圧とは、安静にしている状態で繰り返し測定しても血圧の値が基準値より高い状態のことを指します。たとえば、運動をしたときや、ストレスを感じたときなどに血圧は上昇することがあるため、測定した時にたまたま数値が高く出るということもあります。このように一時的に高くなる場合もあるので、測定を繰り返したうえでも数値が持続的に高い場合に「高血圧症」と診断されます。診断の基準は、測定環境の違いを加味して、病院で測定したときと、家庭で測定したときとで異なります。
病院で測定した場合の高血圧の診断基準は「収縮期(最高)血圧が140mmHg以上または拡張期(最低)血圧が90mmHg以上」なのに対して、家庭で測定した場合の高血圧の診断基準は「収縮期(最高)血圧が135mmHg以上または拡張期(最低)血圧が85mmHg以上」です。医療機関(健康診断)での測定値が140/90mmHg以上または、家庭血圧が135/85mmHg以上が続く場合は、一度近くの内科を受診することを検討しましょう。
高血圧の自覚症状はほとんどありませんが、高血圧が持続することで血管へのダメージが蓄積し、命にかかわるような病気を引き起こす可能性がある、というのは前述の通りです。
以下に、高血圧により引き起こされる可能性のある病気について代表的なものをいくつか示します。
くも膜下出血とは、脳血管の一部が破裂することにより、出血がくも膜下腔にまで広がる病気のことです。”バットで殴られたように今までに経験したことのないような”激しい頭痛が突然生じます。
脳の血管が破れて脳の中に出血を起こす病気です。症状については、出血する部位によって異なりますが、くも膜下出血同様に前触れなく突然発症します。
脳の血管内がつまり、血液が流れにくくなることでその先にある脳細胞がダメージを受ける病気のことです。血液は酸素や栄養素を運んでいるため、脳血管内が狭くなり血流が悪くなると脳細胞に酸素や栄養素が届かなくなり、その結果として血流が滞った部分の脳細胞が壊死し、脳梗塞を発症します。一度壊死した脳細胞は元に戻ることはありません。
また、脳梗塞は、「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」の3つのタイプに分類することができます。
心臓に栄養や酸素を送る役割を担っている血管を「冠動脈」と言います。狭心症はその冠動脈が細くなり、心臓の筋肉へ十分な酸素が行き届かなくなる病気です。心臓は十分な栄養や酸素を受け取れず酸欠状態となるため、胸部に圧迫されるような痛みを引き起こします。狭心症による症状は、通常数分以内に収まりますが、放置すると冠動脈が完全に詰まる心筋梗塞を引き起こす可能性があります。
冠動脈がつまり、心臓の筋肉へ栄養や酸素が行かなくなり細胞が壊死してしまう病気のことです。症状としては胸の痛みや冷や汗、息苦しさなどです。狭心症は血管が細くなり血液は少し流れている状態ですが、心筋梗塞の場合は血管内が塞がり血液の流れがなくなります。冠動脈が閉塞する部位によっては、広範囲な心筋の酸素不足が生じることで、突然死に至るケースもあります。
心不全とは心臓の機能が低下した状態のことを言います。心臓は収縮する(縮まる)ことによって全身に血液を送り出す、ポンプのような働きをしています。そのポンプ機能(十分に収縮して拡張する機能)が低下すると、全身に十分な量の血液を送り出すことができなくなるため、その分心臓は無理をして今まで以上に頑張って働き、血液を全身に送り出そうとします。そうすることで心臓はやがて疲弊し、さらに心臓の機能が低下していきます。心不全の結果、息切れや、呼吸困難感、むくみなどの症状がでます。
高血圧が続くと、腎臓の血管でも動脈硬化が起こります。腎臓の血管は特に細いので、動脈硬化が起こると血液の通り道がさらに狭くなり、血液の流れる量が減ります。そして血液が十分に行き渡らなくなると、腎臓の働きが悪くなります。
脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によっておこる認知症です。脳血管性認知症は全体の認知症の約20%を占めます。血圧を適切に管理し、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を防ぐことで、脳血管性認知症も防ぐことができます
高血圧により起こる可能性のある病気は他にもあります。いずれも、生活習慣の改善や(医師が必要と判断した場合には)内服治療などにより、血圧を適切な値まで下げるとともに、その値を維持していくことが重要です。
原因の判らないものを本態性高血圧症といい、高血圧の約90%がこれに入ります。本態性高血圧症は遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。原因としては以下のことが考えられます。
体の中に血圧上昇の原因となるはっきりした病気がある時にはこれを二次性高血圧症と呼びます。この中には、腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などのように外科手術により高血圧の治療が期待できるものが含まれます。
以下、高血圧(主に本態性高血圧症)の予防及び改善のためのポイントについてお伝えします。なお、医療機関を受診されている方については、必ず担当医の指示に従ってください。
日本人の食塩摂取目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。塩分を摂りすぎると、血液中の「ナトリウム」が増加し、その血液中のナトリウム濃度を薄めようと血管内の血液量が増加し血圧が上がるという機序が働きます。是非、後述する減塩のコツを試してみてください。
【減塩のコツ】
魚に含まれる「n-3系脂肪酸」には直接血圧を下げる効果や、高血圧から発症しやすい脳や心臓疾患の予防にもなるといわれています。特に脂肪の多い青魚(サバ・サンマ・イワシなど)に多く含まれています。1日3食のうち1食は魚料理を召し上がってみてはいかがでしょうか。難しい方は、今よりも少しずつ魚の頻度を増やしてみてください。ただし、干物等は塩分が多い為、出来るだけ控えるようにしましょう。
内臓脂肪からはアンジオテンシノーゲンという物質がでています。このアンジオテンシンノーゲンによって血管が収縮し血圧が上がります。
内臓脂肪を減らすためには体重と腹囲を減らし標準体重を維持することが大切です。特に、BMIが25以上の方や、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の方は減量を心がけましょう。
体重が1kgまたは腹囲が1cm減ると、血圧は1mmHg程度下がると言われています。また、現在の体重から3~5%程度 減量することでも検査値の改善が得られることが明らかになっているため、まずは、3~6ヶ月かけて現在の体重から3%程度減量することを目標にしてみてはいかがでしょうか。
野菜や果物には、ナトリウムを体内から出し血圧を下げる働きのあるカリウムという栄養素が多く含まれています。毎食、副菜(野菜等)を含むメニューにする、朝食として果物を1品摂るようにするなど、日頃から野菜や果物を積極的に食べるよう心がけましょう。
ただし、果物には糖質が多く含まれていますので食べ過ぎには注意しましょう。また、腎臓病や腎機能低下等で治療中の方については、カリウム制限の有無について主治医にご確認ください。
以下、1日の摂取量(目安)です。
習慣的な有酸素運動は、収縮期血圧を3.5mmHg、拡張期血圧を2.5mmHg程度低下させる効果があるといわれています。
具体的にはウォーキングやジョギングなどで、1日に8000歩程度歩くことが推奨されています。ウォーキングの際に、20分程度早歩きを取り入れることがお勧めです。
特に、寒い冬の早朝は血圧が上がりやすいため、血圧が高めの方は日中暖かくなってからの時間帯でウォーキングを行ったり、準備運動をしっかり行い体を温めてから行うようにしましょう。一つの目安として、血圧180/110程度又はそれ以上の場合、運動によりさらに血圧が上昇することで合併症発症のリスクが懸念されますので、運動を行う前に医療機関を受診し、医師の指示を仰いでください。
長期にわたり多量のアルコールを飲み続けると血圧が上がります。アルコールは1日1合(ビール500ml/缶チューハイ7% 350ml 1缶/ハイボール2杯/日本酒180ml/焼酎100ml/ワイングラス2杯程度)までを目安とし、少なくとも週に2日はお酒を飲まない日を設けるようにしましょう。
喫煙は血管を収縮させ血圧を上げます。たばこ1本で血圧は約10mmHg(人によっては20〜30mmHg)上昇し、その状態は喫煙後15分経っても継続するといわれています。副流煙についても同様ですので、受動喫煙の機会がある方も気を付けましょう。
定期的に血圧を測定し自分の血圧を把握することも重要です。
ご家庭で測定した血圧値が135/85mmHg以上が続く場合は内科を受診されることをお勧めします。
【家庭血圧測定の原則】
◉ 測定のタイミングを一定にする。
朝:起床後1時間以内(排尿後、朝食前、服薬前)
夜:就寝前
◉ 食事、カフェイン、アルコール、たばこの摂取後や入浴後などは避ける。
【測定のポイント】
健康診断を受けることの最大のメリットは、病気の早期発見・早期治療であり、多くの場合、自覚症状がないところから身体の状態を一通り調べていくことになります。従って、健康診断で行われる検査は、身体の主要な部位について“広く”検査を行い、精密検査が必要な部位を探していく、というイメージになります。単に、血圧測定のみを行っているだけでは、血圧以外の身体の“サイン”を把握することができませんが、健康診断において、広く一般的な検査を行うことにより、得られる情報が増え、結果的にそれが正しく身体の状態を評価することにつながります。
頻度は少ないですが、健康診断や人間ドックの機会においても、本態性高血圧症ではなく、二次性高血圧が示唆されるような所見が認められることもあります。たとえば、尿検査(尿蛋白、尿潜血)、血液検査(血清クレアチニン、血清カリウム、血清カルシウム、血糖、コレステロール等)、心電図検査、内科診察(問診、聴診、視診、触診等)など、血圧測定以外の検査結果を総合的に見たときに、「二次性高血圧症を疑う所見」として捉えられるケースがあります。
1.高血圧の症状
自覚症状がほとんどないことが高血圧の「症状」ともいえます。高い圧によって傷んだ動脈を元に戻すことは難しいため、早期からの対応が肝要です。
前述の通り、高血圧には自覚症状がほとんどありませんが、血管が高い圧力にさらされ続けることで、「動脈硬化」が進行し、血管の内腔がプラークによって狭くなったり、血管がもろく、硬くなります。すると、血管が血液の流量に合わせて柔軟に伸縮できず、ひどいときには血流に耐え切れず破裂したり、狭くなった血管に血栓が詰まったりということが起こりやすくなります。その障害が起きる場所によって「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「大動脈瘤」といった重大な合併症を引き起こすことがあります。
【高血圧の治療の目的】
高血圧の治療は、血圧を下げることだけが目的ではありません。血圧を下げ、適切にコントロールすることで、高血圧によって特にダメージを受けやすい脳・心臓・腎臓などの大切な臓器を守るということが、本当の目的です。
また、若い頃から血圧をコントロールすることはとても大切なことです。もし40歳で高血圧になり、そのままにしていたらこの先何年、血管は高い圧力にさらされることになるのでしょうか?「若いから大丈夫」ではなく、「若いからこそ大丈夫じゃない」ともいえます。
2.家庭血圧と診察室血圧について
高血圧とは、安静にしている状態で繰り返し測定しても血圧の値が基準値より高い状態のことを指します。たとえば、運動をしたときや、ストレスを感じたときなどに血圧は上昇することがあるため、測定した時にたまたま数値が高く出るということもあります。このように一時的に高くなる場合もあるので、測定を繰り返したうえでも数値が持続的に高い場合に「高血圧症」と診断されます。診断の基準は、測定環境の違いを加味して、病院で測定したときと、家庭で測定したときとで異なります。
病院で測定した場合の高血圧の診断基準は「収縮期(最高)血圧が140mmHg以上または拡張期(最低)血圧が90mmHg以上」なのに対して、家庭で測定した場合の高血圧の診断基準は「収縮期(最高)血圧が135mmHg以上または拡張期(最低)血圧が85mmHg以上」です。医療機関(健康診断)での測定値が140/90mmHg以上または、家庭血圧が135/85mmHg以上が続く場合は、一度近くの内科を受診することを検討しましょう。
3.高血圧で起こる主な病気
高血圧の自覚症状はほとんどありませんが、高血圧が持続することで血管へのダメージが蓄積し、命にかかわるような病気を引き起こす可能性がある、というのは前述の通りです。
以下に、高血圧により引き起こされる可能性のある病気について代表的なものをいくつか示します。
(1)脳卒中
①くも膜下出血
くも膜下出血とは、脳血管の一部が破裂することにより、出血がくも膜下腔にまで広がる病気のことです。”バットで殴られたように今までに経験したことのないような”激しい頭痛が突然生じます。
②脳出血
脳の血管が破れて脳の中に出血を起こす病気です。症状については、出血する部位によって異なりますが、くも膜下出血同様に前触れなく突然発症します。
③脳梗塞
脳の血管内がつまり、血液が流れにくくなることでその先にある脳細胞がダメージを受ける病気のことです。血液は酸素や栄養素を運んでいるため、脳血管内が狭くなり血流が悪くなると脳細胞に酸素や栄養素が届かなくなり、その結果として血流が滞った部分の脳細胞が壊死し、脳梗塞を発症します。一度壊死した脳細胞は元に戻ることはありません。
また、脳梗塞は、「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」の3つのタイプに分類することができます。
(2)虚血性心疾患
①狭心症
心臓に栄養や酸素を送る役割を担っている血管を「冠動脈」と言います。狭心症はその冠動脈が細くなり、心臓の筋肉へ十分な酸素が行き届かなくなる病気です。心臓は十分な栄養や酸素を受け取れず酸欠状態となるため、胸部に圧迫されるような痛みを引き起こします。狭心症による症状は、通常数分以内に収まりますが、放置すると冠動脈が完全に詰まる心筋梗塞を引き起こす可能性があります。
②心筋梗塞
冠動脈がつまり、心臓の筋肉へ栄養や酸素が行かなくなり細胞が壊死してしまう病気のことです。症状としては胸の痛みや冷や汗、息苦しさなどです。狭心症は血管が細くなり血液は少し流れている状態ですが、心筋梗塞の場合は血管内が塞がり血液の流れがなくなります。冠動脈が閉塞する部位によっては、広範囲な心筋の酸素不足が生じることで、突然死に至るケースもあります。
(3)心不全
心不全とは心臓の機能が低下した状態のことを言います。心臓は収縮する(縮まる)ことによって全身に血液を送り出す、ポンプのような働きをしています。そのポンプ機能(十分に収縮して拡張する機能)が低下すると、全身に十分な量の血液を送り出すことができなくなるため、その分心臓は無理をして今まで以上に頑張って働き、血液を全身に送り出そうとします。そうすることで心臓はやがて疲弊し、さらに心臓の機能が低下していきます。心不全の結果、息切れや、呼吸困難感、むくみなどの症状がでます。
(4)腎硬化症
高血圧が続くと、腎臓の血管でも動脈硬化が起こります。腎臓の血管は特に細いので、動脈硬化が起こると血液の通り道がさらに狭くなり、血液の流れる量が減ります。そして血液が十分に行き渡らなくなると、腎臓の働きが悪くなります。
(5)脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によっておこる認知症です。脳血管性認知症は全体の認知症の約20%を占めます。血圧を適切に管理し、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を防ぐことで、脳血管性認知症も防ぐことができます
高血圧により起こる可能性のある病気は他にもあります。いずれも、生活習慣の改善や(医師が必要と判断した場合には)内服治療などにより、血圧を適切な値まで下げるとともに、その値を維持していくことが重要です。
4.高血圧の原因
(1)本態性高血圧症
原因の判らないものを本態性高血圧症といい、高血圧の約90%がこれに入ります。本態性高血圧症は遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。原因としては以下のことが考えられます。
(2)二次性高血圧症
体の中に血圧上昇の原因となるはっきりした病気がある時にはこれを二次性高血圧症と呼びます。この中には、腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などのように外科手術により高血圧の治療が期待できるものが含まれます。
5.高血圧の予防
以下、高血圧(主に本態性高血圧症)の予防及び改善のためのポイントについてお伝えします。なお、医療機関を受診されている方については、必ず担当医の指示に従ってください。
(1)塩分を控える
日本人の食塩摂取目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。塩分を摂りすぎると、血液中の「ナトリウム」が増加し、その血液中のナトリウム濃度を薄めようと血管内の血液量が増加し血圧が上がるという機序が働きます。是非、後述する減塩のコツを試してみてください。
【減塩のコツ】
(2)主菜を魚にする
魚に含まれる「n-3系脂肪酸」には直接血圧を下げる効果や、高血圧から発症しやすい脳や心臓疾患の予防にもなるといわれています。特に脂肪の多い青魚(サバ・サンマ・イワシなど)に多く含まれています。1日3食のうち1食は魚料理を召し上がってみてはいかがでしょうか。難しい方は、今よりも少しずつ魚の頻度を増やしてみてください。ただし、干物等は塩分が多い為、出来るだけ控えるようにしましょう。
(3)内臓脂肪を減らす(減量する)
内臓脂肪からはアンジオテンシノーゲンという物質がでています。このアンジオテンシンノーゲンによって血管が収縮し血圧が上がります。
内臓脂肪を減らすためには体重と腹囲を減らし標準体重を維持することが大切です。特に、BMIが25以上の方や、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の方は減量を心がけましょう。
体重が1kgまたは腹囲が1cm減ると、血圧は1mmHg程度下がると言われています。また、現在の体重から3~5%程度 減量することでも検査値の改善が得られることが明らかになっているため、まずは、3~6ヶ月かけて現在の体重から3%程度減量することを目標にしてみてはいかがでしょうか。
(4)野菜や果物を摂取する
野菜や果物には、ナトリウムを体内から出し血圧を下げる働きのあるカリウムという栄養素が多く含まれています。毎食、副菜(野菜等)を含むメニューにする、朝食として果物を1品摂るようにするなど、日頃から野菜や果物を積極的に食べるよう心がけましょう。
ただし、果物には糖質が多く含まれていますので食べ過ぎには注意しましょう。また、腎臓病や腎機能低下等で治療中の方については、カリウム制限の有無について主治医にご確認ください。
以下、1日の摂取量(目安)です。
(5)有酸素運動を心がける
習慣的な有酸素運動は、収縮期血圧を3.5mmHg、拡張期血圧を2.5mmHg程度低下させる効果があるといわれています。
具体的にはウォーキングやジョギングなどで、1日に8000歩程度歩くことが推奨されています。ウォーキングの際に、20分程度早歩きを取り入れることがお勧めです。
特に、寒い冬の早朝は血圧が上がりやすいため、血圧が高めの方は日中暖かくなってからの時間帯でウォーキングを行ったり、準備運動をしっかり行い体を温めてから行うようにしましょう。一つの目安として、血圧180/110程度又はそれ以上の場合、運動によりさらに血圧が上昇することで合併症発症のリスクが懸念されますので、運動を行う前に医療機関を受診し、医師の指示を仰いでください。
(6)節酒を心がける
長期にわたり多量のアルコールを飲み続けると血圧が上がります。アルコールは1日1合(ビール500ml/缶チューハイ7% 350ml 1缶/ハイボール2杯/日本酒180ml/焼酎100ml/ワイングラス2杯程度)までを目安とし、少なくとも週に2日はお酒を飲まない日を設けるようにしましょう。
(7)禁煙する
喫煙は血管を収縮させ血圧を上げます。たばこ1本で血圧は約10mmHg(人によっては20〜30mmHg)上昇し、その状態は喫煙後15分経っても継続するといわれています。副流煙についても同様ですので、受動喫煙の機会がある方も気を付けましょう。
(8)モニタリングを行う
定期的に血圧を測定し自分の血圧を把握することも重要です。
ご家庭で測定した血圧値が135/85mmHg以上が続く場合は内科を受診されることをお勧めします。
【家庭血圧測定の原則】
◉ 測定のタイミングを一定にする。
朝:起床後1時間以内(排尿後、朝食前、服薬前)
夜:就寝前
◉ 食事、カフェイン、アルコール、たばこの摂取後や入浴後などは避ける。
【測定のポイント】
6.健康診断でわかる高血圧
健康診断を受けることの最大のメリットは、病気の早期発見・早期治療であり、多くの場合、自覚症状がないところから身体の状態を一通り調べていくことになります。従って、健康診断で行われる検査は、身体の主要な部位について“広く”検査を行い、精密検査が必要な部位を探していく、というイメージになります。単に、血圧測定のみを行っているだけでは、血圧以外の身体の“サイン”を把握することができませんが、健康診断において、広く一般的な検査を行うことにより、得られる情報が増え、結果的にそれが正しく身体の状態を評価することにつながります。
頻度は少ないですが、健康診断や人間ドックの機会においても、本態性高血圧症ではなく、二次性高血圧が示唆されるような所見が認められることもあります。たとえば、尿検査(尿蛋白、尿潜血)、血液検査(血清クレアチニン、血清カリウム、血清カルシウム、血糖、コレステロール等)、心電図検査、内科診察(問診、聴診、視診、触診等)など、血圧測定以外の検査結果を総合的に見たときに、「二次性高血圧症を疑う所見」として捉えられるケースがあります。