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1.生活習慣病とは
生活習慣病とはその名の通り、食習慣、運動習慣、休養、飲酒習慣、喫煙習慣などの「生活習慣」が発症に関係している病気の総称のことです。発症してもかなり進行するまで自覚症状がないことが多く、やがて脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など重大な合併症を引き起こす可能性があり、生活習慣病は日本人の死因の半数以上を占めています。しかし逆に言うと、生活習慣を改善することで、防ぐことが可能な病気です。
2.生活習慣病の歴史
「生活習慣病」という言葉は1996年頃から使われるようになりました。以前は成人期に多く発症するため「成人病」と呼ばれていましたが、成人でも生活習慣の改善により予防可能であること、成人でなくても(子供にも)発症の可能性があることから「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。
3.生活習慣病の原因
生活習慣病になる原因には生活習慣、遺伝、外的環境の3つが関係していると言われています。
(1)生活習慣
冒頭でもお伝えした通り、生活習慣は生活習慣病の主な原因です。
「外食の頻度が多い」、「夕食のボリュームが多く、朝食は食べないことが多い」、「間食する」、「食後のお菓子が欠かせない」、「加糖コーヒーや清涼飲料水、果汁ジュースなどの飲料を日常的に摂取している」、「運動習慣がない」… といった生活を送っていませんか?このような生活を長年続けていると、生活習慣病の発症につながる恐れがあります。
以下に、具体的な改善策についても記載しておりますので、ご参照ください。
①食習慣
☑ 満腹(腹10分目以上)まで食べる
【改善策】
毎食(夕食は特に)、腹八分目のボリュームに抑える。
具体的には、就寝前に軽く小腹がすく程度、起床時に空腹を感じるレベルのボリュームに調整することが理想です。難しければ、今より量や品数を減らすことを心掛けてみてください。
「満腹まで食べたい」という方は、食事の始めに副菜(野菜・海藻・きのこなどのおかず)多めに食べたり、具沢山スープを取り入れたりすると良いかもしれません。
☑ 外食やコンビニ食がほとんど
外食やコンビニ食は、エネルギー過多や塩分過多、野菜不足になりやすい傾向がありますが、メニュー選びや量の調整により、健康的な食生活に近づけることも可能です。ポイントは「一品料理より定食スタイル」、「低カロリー・高タンパクで野菜が摂れるメニュー」、「塩分の量に注意」です。
<コンビニ食のメニュー例>
朝:お好みのおにぎり1個、ゆで卵1個、豆腐バー1個、トマトジュース(食塩無添加)200ml
昼:焼き鯖のお弁当(小さいサイズ)、サラダ1個
夕:もち麦入りおにぎり1個、鶏団子入りスープ、お好みのサラダ1個 など
☑ 夕食後に夜食や菓子類を食べる
夕食後は早めに歯磨きをして、夜食や菓子類の摂取は控えるのがベストですが、
もし、どうしても何か食べたい、ということでしたら、出来るだけ低カロリーのもの(少なくとも200kcal以内)を選ぶと良いでしょう。
例)温かい牛乳または豆乳、卵豆腐、ヨーグルト、野菜スティックやサラダ、バナナ1本、少量のお粥 など
☑ 1日に複数回間食を摂ったり甘い飲み物を飲んだりする
間食する場合の回数や量の目安としては、1日1回、100~200kcal以内/日が望ましいとされています。
飲み物については、水やお茶などの無糖飲料をお勧めします。清涼飲料水など液体に溶けている糖質は吸収が速く、血糖値を急上昇させます。そのため、糖質を多く含む飲料の常飲・多飲は、内臓脂肪の増加や2型糖尿病の発症リスク上昇につながります。
☑ 欠食や食事の時間帯が不規則
朝食を含む1日3食を摂取すること、規則的に(出来るだけ毎日同じ時間帯に・適度な時間を空けて)食事を摂ることを心掛けることが重要です。食後高血糖を抑制し、体内時計を整えることに資するとされています。
☑ 食べた後にすぐに寝る
逆流性食道炎のリスク、睡眠の質の低下、肥満のリスク などが懸念されます。
やむを得ず夕食の時間と就寝時間が近くなってしまう場合には、分食する(夕方におにぎりなどの主食を摂取し、帰宅後に主菜と副菜を軽めに摂取する)、または、油少なめで消化に良いメニュー(例えば、ごはん少なめ1膳、焼き鮭1切れ、野菜の小鉢2品程度又はサラダ など)を腹八分目の量で摂取する、といった工夫が必要です。
☑ よく噛まず、速食いする
よく噛まずに速食いをする方は、肥満になりやすい傾向にあります。予防するには、
一口で30回程度を目安に、ゆっくりとよく噛んで食べることが重要です。私たちの身体は食事をし始めて「満腹」と感じるまでに20分以上かかります。速食いをすると満腹感を感じる前にたくさんの量を食べてしまうため、食べ過ぎになりがちです。1.2.3・・と噛む回数を30まで数えるのが難しいという方は、「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」と頭の中で3回唱えながら噛むと、ひとくち30回噛むことが達成しやすくなります。
また、よく噛むことにより、食べ過ぎを防ぐだけでなく、「食べ物の味を、より美味しく味わう」、「消化を助ける」、「脳を活性化させる」といった効果も期待できます。さらに、唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素には、口内で細菌やウイルスを攻撃し増殖を抑える作用があることから、よく噛むことによる唾液分泌量の増加は、虫歯や歯周病の予防にもつながるとされています。
②運動習慣
☑ 移動手段は車や電動自転車などが多い
移動時に意識的に体を動かすようにするだけでも、活動量の増加につながります。例えば、以下のような方法があります。
<日常生活で活動量を増やすための工夫例>
・ちょっとした用事があるときは、車ではなく徒歩で行く。
・スマホのアプリなどを活用し、日々の歩数を把握する。
・エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う。
・ランチや昼食の買い物は遠くのお店まで歩いていく。
・歩行時に早歩きをする。
・休日に、気分転換も兼ねて散歩する。
・自宅で出来る運動(ルームランナー、エアロバイク、動画を用いた運動、体操、踏み台昇降、筋トレ、ストレッチ など)を行う。 など
☑ 1日のうち座っている時間が長い
座位時間が長いほど、死亡リスクが増加することが明らかになっています。死亡リスクや食後血糖値や中性脂肪、インスリン抵抗性などに起因する心血管代謝疾患のリスクを低下させるためには、座位時間の中断が重要です。
30分に1回は立ち上がり軽い運動をすることが理想ですが、少なくとも1時間に1回は立ち上がり少し動くようにしましょう。
☑ 運動習慣がない
運動が苦手という方は、日常での歩行や散歩、掃除や洗車などの日常生活活動の中で活動量を「今より増やす」ことを検討してみてください。
③休養
☑ 睡眠時間が6時間未満
働く世代にとって必要な睡眠時間は6~9時間とされ、個人差はあるものの、一般的には7時間が最適である人の割合が多いといわれています。慢性的な睡眠不足状態にある人は、糖尿病や心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病に罹りやすいことが明らかになっています。睡眠の「時間」の見直しも重要です。
☑ 日中眠気を感じる
食後に眠気を感じることがあると思いますが、その原因は多くの場合、自然な生理現象といえます。食後は消化活動をするために、胃腸に血液が集中し、脳の血流量が減少するために、眠くなってくるのです。よって、誰にでもあることなので、そこまで心配をする必要はありませんが、問題となってくるのはその「程度」でしょう。
また、食後の眠気のもう一つの原因として、血糖値の急上昇、急降下によるものがあります。この場合、食事の量や内容、食べ方などを見直す必要があります。
他方、睡眠不足や質の悪い睡眠、体内時計の乱れによっても日中眠くなります。特に、睡眠時無呼吸症候群については、精査や治療が必要な状態(レベル)であるにも関わらず、長年放置されると、心臓、脳、血管などさまざまな臓器に負担がかかります。これにより高血圧、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、慢性心不全、不整脈、脳卒中、糖尿病などを発症するリスクが高くなるのがこの病気の怖いところです。さらに、重症の状態のまま治療しないと、寿命が短くなるという米国の調査結果もあります。以下の項目もご覧ください。
☑ 朝目覚めたときに疲れが取れていない感じがする
睡眠後の休養感、つまり「睡眠で休養がとれている感覚」が特に重要です。休養感を高めるためには、睡眠時間を見直すとともに、生活習慣や睡眠環境を整える必要があります。
また、睡眠に関係した病気として最も注意が必要なのは、前記の通り睡眠時無呼吸症候群です。睡眠休養感が低い、日中の眠気が強い場合などは、積極的に専⾨医療機関で検査を受けることをお勧めします。
☑ 休日の睡眠時間が平日の睡眠時間より2時間以上長い
睡眠負債がたまっていると、休日に長く寝てしまいがちです。目安として、平日よりも休日の睡眠時間が2時間以上長い方は、平日に睡眠不足が続いている可能性があります。根本的な改善策は、平日の睡眠時間を確保することですが、仕事の都合などでどうしても難しい場合は、休日の睡眠を大事にしましょう。
なお、休日の寝だめは「体内時計の乱れ」という代償を伴う場合が多いため、平日の睡眠時間を見直したうえで、休日の睡眠時間を「平日の睡眠時間+1時間」程度にすることが望ましい、とされています。
④飲酒習慣
☑ 1日の飲酒量が1合以上
健康日本21(厚生労働省が推進する国民健康づくり運動)においては、「節度ある適度な飲酒とは、純アルコールを1日平均20g程度」とされています。純アルコール20gは、日本酒1合に相当します。詳細については、下記をご参照ください。
なお、女性の場合、男性の半分程度の量が適当とされています。
<1合の目安>
・ビール500ml 1杯
・ハイボール 2杯(濃いめだと1杯)
・ウィスキーダブル 1杯
・チューハイ350ml 1杯
・日本酒180ml 1杯
・焼酎100ml 1杯
・ワイン グラス2杯
・梅酒180ml 1杯
☑ 週5日以上飲酒している
週に2日は休肝日を設けて肝臓を休ませることが重要です。
⑤喫煙
☑ 年数や本数に関係なく、紙タバコや加熱式タバコなどを吸っている
禁煙がマストです。禁煙を継続することにより、生活習慣病リスクが大幅に低減します。
(2)遺伝
父親や母親など身近なご家族に、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の方がいる方は、正しい生活習慣を送っていても発症する場合があります。
(3)外的環境
ストレスや有害物質などが発症に関与している場合があります。
以上、今回は「生活習慣病とは」についてお伝えしました。
次回は「生活習慣病の主な病気」についてご説明いたします。
1.生活習慣病とは
生活習慣病とはその名の通り、食習慣、運動習慣、休養、飲酒習慣、喫煙習慣などの「生活習慣」が発症に関係している病気の総称のことです。発症してもかなり進行するまで自覚症状がないことが多く、やがて脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など重大な合併症を引き起こす可能性があり、生活習慣病は日本人の死因の半数以上を占めています。しかし逆に言うと、生活習慣を改善することで、防ぐことが可能な病気です。
2.生活習慣病の歴史
「生活習慣病」という言葉は1996年頃から使われるようになりました。以前は成人期に多く発症するため「成人病」と呼ばれていましたが、成人でも生活習慣の改善により予防可能であること、成人でなくても(子供にも)発症の可能性があることから「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。
3.生活習慣病の原因
生活習慣病になる原因には生活習慣、遺伝、外的環境の3つが関係していると言われています。
(1)生活習慣
冒頭でもお伝えした通り、生活習慣は生活習慣病の主な原因です。
「外食の頻度が多い」、「夕食のボリュームが多く、朝食は食べないことが多い」、「間食する」、「食後のお菓子が欠かせない」、「加糖コーヒーや清涼飲料水、果汁ジュースなどの飲料を日常的に摂取している」、「運動習慣がない」… といった生活を送っていませんか?このような生活を長年続けていると、生活習慣病の発症につながる恐れがあります。
以下に、具体的な改善策についても記載しておりますので、ご参照ください。
①食習慣
☑ 満腹(腹10分目以上)まで食べる
【改善策】
毎食(夕食は特に)、腹八分目のボリュームに抑える。
具体的には、就寝前に軽く小腹がすく程度、起床時に空腹を感じるレベルのボリュームに調整することが理想です。難しければ、今より量や品数を減らすことを心掛けてみてください。
「満腹まで食べたい」という方は、食事の始めに副菜(野菜・海藻・きのこなどのおかず)多めに食べたり、具沢山スープを取り入れたりすると良いかもしれません。
☑ 外食やコンビニ食がほとんど
【改善策】
外食やコンビニ食は、エネルギー過多や塩分過多、野菜不足になりやすい傾向がありますが、メニュー選びや量の調整により、健康的な食生活に近づけることも可能です。ポイントは「一品料理より定食スタイル」、「低カロリー・高タンパクで野菜が摂れるメニュー」、「塩分の量に注意」です。
<コンビニ食のメニュー例>
朝:お好みのおにぎり1個、ゆで卵1個、豆腐バー1個、トマトジュース(食塩無添加)200ml
昼:焼き鯖のお弁当(小さいサイズ)、サラダ1個
夕:もち麦入りおにぎり1個、鶏団子入りスープ、お好みのサラダ1個 など
☑ 夕食後に夜食や菓子類を食べる
【改善策】
夕食後は早めに歯磨きをして、夜食や菓子類の摂取は控えるのがベストですが、
もし、どうしても何か食べたい、ということでしたら、出来るだけ低カロリーのもの(少なくとも200kcal以内)を選ぶと良いでしょう。
例)温かい牛乳または豆乳、卵豆腐、ヨーグルト、野菜スティックやサラダ、バナナ1本、少量のお粥 など
☑ 1日に複数回間食を摂ったり甘い飲み物を飲んだりする
【改善策】
間食する場合の回数や量の目安としては、1日1回、100~200kcal以内/日が望ましいとされています。
飲み物については、水やお茶などの無糖飲料をお勧めします。清涼飲料水など液体に溶けている糖質は吸収が速く、血糖値を急上昇させます。そのため、糖質を多く含む飲料の常飲・多飲は、内臓脂肪の増加や2型糖尿病の発症リスク上昇につながります。
☑ 欠食や食事の時間帯が不規則
【改善策】
朝食を含む1日3食を摂取すること、規則的に(出来るだけ毎日同じ時間帯に・適度な時間を空けて)食事を摂ることを心掛けることが重要です。食後高血糖を抑制し、体内時計を整えることに資するとされています。
☑ 食べた後にすぐに寝る
【改善策】
逆流性食道炎のリスク、睡眠の質の低下、肥満のリスク などが懸念されます。
やむを得ず夕食の時間と就寝時間が近くなってしまう場合には、分食する(夕方におにぎりなどの主食を摂取し、帰宅後に主菜と副菜を軽めに摂取する)、または、油少なめで消化に良いメニュー(例えば、ごはん少なめ1膳、焼き鮭1切れ、野菜の小鉢2品程度又はサラダ など)を腹八分目の量で摂取する、といった工夫が必要です。
☑ よく噛まず、速食いする
【改善策】
よく噛まずに速食いをする方は、肥満になりやすい傾向にあります。予防するには、
一口で30回程度を目安に、ゆっくりとよく噛んで食べることが重要です。私たちの身体は食事をし始めて「満腹」と感じるまでに20分以上かかります。速食いをすると満腹感を感じる前にたくさんの量を食べてしまうため、食べ過ぎになりがちです。1.2.3・・と噛む回数を30まで数えるのが難しいという方は、「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」と頭の中で3回唱えながら噛むと、ひとくち30回噛むことが達成しやすくなります。
また、よく噛むことにより、食べ過ぎを防ぐだけでなく、「食べ物の味を、より美味しく味わう」、「消化を助ける」、「脳を活性化させる」といった効果も期待できます。さらに、唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素には、口内で細菌やウイルスを攻撃し増殖を抑える作用があることから、よく噛むことによる唾液分泌量の増加は、虫歯や歯周病の予防にもつながるとされています。
②運動習慣
☑ 移動手段は車や電動自転車などが多い
【改善策】
移動時に意識的に体を動かすようにするだけでも、活動量の増加につながります。例えば、以下のような方法があります。
<日常生活で活動量を増やすための工夫例>
・ちょっとした用事があるときは、車ではなく徒歩で行く。
・スマホのアプリなどを活用し、日々の歩数を把握する。
・エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う。
・ランチや昼食の買い物は遠くのお店まで歩いていく。
・歩行時に早歩きをする。
・休日に、気分転換も兼ねて散歩する。
・自宅で出来る運動(ルームランナー、エアロバイク、動画を用いた運動、体操、踏み台昇降、筋トレ、ストレッチ など)を行う。 など
☑ 1日のうち座っている時間が長い
【改善策】
座位時間が長いほど、死亡リスクが増加することが明らかになっています。死亡リスクや食後血糖値や中性脂肪、インスリン抵抗性などに起因する心血管代謝疾患のリスクを低下させるためには、座位時間の中断が重要です。
30分に1回は立ち上がり軽い運動をすることが理想ですが、少なくとも1時間に1回は立ち上がり少し動くようにしましょう。
☑ 運動習慣がない
【改善策】
運動が苦手という方は、日常での歩行や散歩、掃除や洗車などの日常生活活動の中で活動量を「今より増やす」ことを検討してみてください。
③休養
☑ 睡眠時間が6時間未満
【改善策】
働く世代にとって必要な睡眠時間は6~9時間とされ、個人差はあるものの、一般的には7時間が最適である人の割合が多いといわれています。慢性的な睡眠不足状態にある人は、糖尿病や心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病に罹りやすいことが明らかになっています。睡眠の「時間」の見直しも重要です。
☑ 日中眠気を感じる
【改善策】
食後に眠気を感じることがあると思いますが、その原因は多くの場合、自然な生理現象といえます。食後は消化活動をするために、胃腸に血液が集中し、脳の血流量が減少するために、眠くなってくるのです。よって、誰にでもあることなので、そこまで心配をする必要はありませんが、問題となってくるのはその「程度」でしょう。
また、食後の眠気のもう一つの原因として、血糖値の急上昇、急降下によるものがあります。この場合、食事の量や内容、食べ方などを見直す必要があります。
他方、睡眠不足や質の悪い睡眠、体内時計の乱れによっても日中眠くなります。特に、睡眠時無呼吸症候群については、精査や治療が必要な状態(レベル)であるにも関わらず、長年放置されると、心臓、脳、血管などさまざまな臓器に負担がかかります。これにより高血圧、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、慢性心不全、不整脈、脳卒中、糖尿病などを発症するリスクが高くなるのがこの病気の怖いところです。さらに、重症の状態のまま治療しないと、寿命が短くなるという米国の調査結果もあります。以下の項目もご覧ください。
☑ 朝目覚めたときに疲れが取れていない感じがする
【改善策】
睡眠後の休養感、つまり「睡眠で休養がとれている感覚」が特に重要です。休養感を高めるためには、睡眠時間を見直すとともに、生活習慣や睡眠環境を整える必要があります。
また、睡眠に関係した病気として最も注意が必要なのは、前記の通り睡眠時無呼吸症候群です。睡眠休養感が低い、日中の眠気が強い場合などは、積極的に専⾨医療機関で検査を受けることをお勧めします。
☑ 休日の睡眠時間が平日の睡眠時間より2時間以上長い
【改善策】
睡眠負債がたまっていると、休日に長く寝てしまいがちです。目安として、平日よりも休日の睡眠時間が2時間以上長い方は、平日に睡眠不足が続いている可能性があります。根本的な改善策は、平日の睡眠時間を確保することですが、仕事の都合などでどうしても難しい場合は、休日の睡眠を大事にしましょう。
なお、休日の寝だめは「体内時計の乱れ」という代償を伴う場合が多いため、平日の睡眠時間を見直したうえで、休日の睡眠時間を「平日の睡眠時間+1時間」程度にすることが望ましい、とされています。
④飲酒習慣
☑ 1日の飲酒量が1合以上
【改善策】
健康日本21(厚生労働省が推進する国民健康づくり運動)においては、「節度ある適度な飲酒とは、純アルコールを1日平均20g程度」とされています。純アルコール20gは、日本酒1合に相当します。詳細については、下記をご参照ください。
なお、女性の場合、男性の半分程度の量が適当とされています。
<1合の目安>
・ビール500ml 1杯
・ハイボール 2杯(濃いめだと1杯)
・ウィスキーダブル 1杯
・チューハイ350ml 1杯
・日本酒180ml 1杯
・焼酎100ml 1杯
・ワイン グラス2杯
・梅酒180ml 1杯
☑ 週5日以上飲酒している
【改善策】
週に2日は休肝日を設けて肝臓を休ませることが重要です。
⑤喫煙
☑ 年数や本数に関係なく、紙タバコや加熱式タバコなどを吸っている
【改善策】
禁煙がマストです。禁煙を継続することにより、生活習慣病リスクが大幅に低減します。
(2)遺伝
父親や母親など身近なご家族に、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の方がいる方は、正しい生活習慣を送っていても発症する場合があります。
(3)外的環境
ストレスや有害物質などが発症に関与している場合があります。
以上、今回は「生活習慣病とは」についてお伝えしました。
次回は「生活習慣病の主な病気」についてご説明いたします。