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2024-07-23

夏の食中毒予防を!

 

細菌性食中毒は1年を通じて発生しますが、気温と湿度の高い夏は、ほかの季節に比べて細菌が繁殖しやすいため特に注意が必要です。

食中毒の原因はさまざまですが、食中毒を招く細菌が繁殖しても、食べ物の見た目や味は変わらず、匂いもしない場合があります。予防のポイントをおさえて、夏の食中毒を防ぎましょう。

 

 

1.「夏」と「冬」の食中毒の違い

(1)「夏」の食中毒 

多くは「細菌」による食中毒で、細菌は気温が高い・湿気が多いといった環境下で繁殖しやすいです。また、細菌性食中毒の場合人から人へは伝染しにくいですが、菌が食べ物の中で増殖し、それを食べることによって感染することがほとんどです。

そのため、夏の食中毒予防では「細菌を増やさない」ようにすることが重要となってきます。

 

令和5年度(6月-10月)に発生した食中毒の原因ランキング

1位:カンピロバクター・ジュジュニ・コリ
2位:サルモネラ属菌
3位:ウェルシュ菌
4位:ぶどう球菌

※厚生労働省:令和5年(2023年)食中毒発生状況参照

 

 

(2)「冬」の食中毒

多くは「ウィルス」による食中毒で、ほとんどがノロウィルスによるものです。

ウィルスは、気温が低い・乾燥しやすいといった環境下で繁殖しやすいです。

また、ウィルスは他の生物に寄生することでしか生きることができないため、

人から人へ感染し尚かつ、感染力も強いです。

そのため、冬の場合自分が食中毒にならないように注意することも大切ですが、「周囲からウィルスをもらわない」ようにすることも重要となってきます。

 

2.食中毒を引き起こす主な原因菌の特徴

(1)カンピロバクター

少数精鋭で威力絶大

  • 症状:腹痛、下痢、発熱、倦怠感、麻痺を引き起こす後遺症(ギランバレー症候群 *)が残る場合も。
  • 潜伏期間:2~7日(平均2~3日)。長いことが特徴。
  • 隠れ家:食肉(特に鶏肉)ほか。

 

(2)サルモネラ属菌

調理器具の洗い残しに注意

  • 症状:38~40度の発熱、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐。
  • 潜伏期間:6~72時間
  • 隠れ家:卵(加工品を含む)、食肉調理品。

 

(3)ウェルシュ菌

加熱に耐えて室温で増殖

  • 症状:下痢、腹痛。
  • 潜伏期間:6~18時間。
  • 隠れ家:カレー、煮物などの煮込み料理。

 

(4)黄色ブドウ球菌

煮ても焼いても平気な毒素

  • 症状:吐き気、嘔吐、腹痛。
  • 潜伏期間:30分~6時間(平均3時間)。
  • 隠れ家:おにぎり、サンドイッチほか。皮膚の化膿傷に潜んでいる。

 

 

*ギランバレー症候群

細菌やウイルスの感染をきっかけに、免疫が自分の神経を攻撃してしまう病気(自己免疫性末梢神経障害の一種)。手足がしびれたり、感覚がわからなくなったり、力の入りにくさを感じたりする。感染1〜4週間後に手足の筋力低下や痺れが出現し、症状は通常1〜2週間でピークに達する。1ヶ月を過ぎると、症状は徐々に改善傾向を示すが、後遺症が残る場合もある。

 

3.食中毒かなと思ったら

  • 下痢や吐いた場合、水分をしっかりととりましょう。
  • 自己判断で市販薬等は飲まず、まずは病院を受診しましょう。
  • 食べたもの、食品の包装、店のレシートが残っていたら保管しましょう。食中毒の原因を調べたりするのに使います。

 

💡病院受診の目安

嘔吐がひどくて水が飲めない/吐血/便に血液が混ざる/腹痛/息が苦しい

以下の項目にあてはまる方は、食中毒にかかった場合症状が重くなる可能性があります。受診の際に、医師に伝えましょう。

  • 乳幼児や高齢者の方
  • 妊娠中の方
  • 肝臓疾患、悪性腫瘍、糖尿病の治療を受けている方
  • 胃腸の手術を受けた、胃酸が少ない等、胃腸に問題がある方
  • ステロイドを服用中、HIVに感染している等、免疫力が落ちている方

 

4.家庭でできる食中毒予防のポイント

食中毒予防の3原則 ~ 付けない、増やさない、やっつける ~

 

(1)食品の購入
  • 表示のある食品は、消費期限等を確認し、購入しましょう。
  • 購入した食品は、肉汁や魚等の水分が漏れないようにビニール袋等にそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。できれば保冷剤(氷)等と一緒に持ち帰りましょう。
  • 特に、生鮮食品等のように冷蔵や冷凍等の温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら早めに帰るようにしましょう。

 

(2)家庭での保存
  • 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
  • 蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です。
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することがめやすです。
  • 肉や魚等は、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁等がかからないようにしましょう。

 

(3)下準備
  • ゴミはこまめに捨てましょう。
  • タオルやふきんは清潔なものと交換しましょう。
  • 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
  • こまめに手を洗いましょう。
  • 生の肉や魚等の汁が、果物やサラダ等生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
  • 生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。
  • 冷凍食品等の解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよいでしょう。

 

(4)調理
  • 手を洗いましょう。
  • 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。調理を途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
  • 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。

 

 

(5)食事
  • 食事の前には手を洗いましょう。
  • 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
  • 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。

 

 

(6)残った食品
  • 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。
  • 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
  • 時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
  • 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。
  • ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。

※厚生労働省:家庭でできる食中毒予防の6つのポイントより引用

 

5.飲みかけのペットボトル飲料で食中毒!?

人間の口の中には、多くの細菌がいます。そのため、口を付けてペットボトル飲料を飲んだ場合、口内細菌が飲料中に入って増殖します。

また、ペットボトル内部は湿度が高く、細菌が増殖しやすい環境となっています。特に、再利用する場合や開封後長時間放置した場合には注意が必要です。

 

衛生的に飲むにはどうしたら?
  • 直接口を付けずに、コップに注いで飲む。
  • 開封後のペットボトル飲料は、冷蔵庫に入れて保管し、直接口を付けて飲んだ場合、出来れば当日中、遅くとも翌日には飲み切る。
  • 事業所内の冷蔵庫に保管する際には、付箋紙や油性ペンなどを用いて名前と開封日を書き入れる。
  • 事業所内の冷蔵庫の管理者を決め、定期的に“棚卸し”を行う。
    例)「毎月1回、冷蔵庫の棚卸しを行い、その時点で名前のないものや期限が切れているものを廃棄する」等のルールを策定し、告知のうえ実施する。 等
  • 短時間で飲み切れる小さめのサイズを選ぶ。

 

⚠️⚠️⚠️⚠️

実際に、福岡市保健環境研究所が、口を付けたペットボトルの麦茶を使って細菌がどれくらい増えるかについて実験した結果、24時間後には100倍以上の菌数になっていることがわかりました。 

⚠️⚠️⚠️⚠️ 

 

6.お弁当で食中毒を起こさないための対策

(1)手洗い

手や指には食中毒菌の1つである黄色ブドウ球菌がついているため、調理前はもちろん、調理中、食事前など、こまめに手洗いをしてください。特に、傷があるところにはこの菌が多くついているので、調理用の使い捨て手袋などで手を覆うのがよいでしょう。また、おにぎりを握るときは、素手ではなくラップ等を使うのがお勧めです。

 

(2)お弁当箱

清潔なお弁当箱を使うのが原則。お弁当箱を洗うときは、ふたのパッキンを外し、外したふたの細かい部分はスプレータイプの洗剤やブラシ等を利用して、すみずみまで洗いましょう。シリコン製のカップも同様です。洗った後は、十分乾かしてください。洗った直後に使う必要がある場合には、清潔なふきんかペーパータオル等でしっかり拭き取りましょう。

 

(3)作る

おかずはしっかり中心部まで加熱することが大事です。清潔な調理用温度計を用いて確認することをおすすめします。
卵焼きやゆで卵などの卵料理は、半熟ではなく、完全に固まるまでしっかり加熱するようにしましょう。
火を通さなくても食べられるハムやかまぼこなども、できるだけ加熱料理をするようにしましょう。

 

食中毒の原因菌が死滅する中心温度と時間の目安
ノロウィルス85~90℃で90秒(以上)加熱
腸管出血性大腸菌 /  カンピロバクター / サルモネラ属菌75℃で60秒(以上)加熱

 

(4)詰める

食材を詰める際には、箸や使い捨て手袋を使用して、食材には直接触れないようにしてください。また、冷ましてから詰めることもポイント。温かいうちに詰めてしまうと、お弁当に水滴が付いたり、温かい状態が続いたりして細菌が増えやすくなります。持ち歩く際は保冷剤や保冷バッグを利用して、食べるまでは冷蔵庫で保管しましょう。

 

(5)水分に注意

水分が多いと細菌が増えやすくなるため、おかずの汁気はよく切ってください。特に、生野菜や煮物、混ぜご飯、半熟卵などは、夏場のお弁当には適しません。
食品からの水漏れを防いだり、他の食品に菌が移るのを防ぐために、仕切りや使い捨ての盛り付けカップを活用するのも良いでしょう。また、お弁当のおかずとして生野菜や果物を用いる場合には、よく洗い、水気を切ってから詰めましょう。別の容器に入れると安心です。 

 

気温と湿度の高い夏は、食中毒のリスクが高くなります。記事を読んで予防しましょう!