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2025-11-06

肺がんについて

1. 肺がんとは

肺がんは、気管支や肺胞(空気中の酸素と血液中の二酸化炭素を入れ替える場所)の細胞ががん化し、周りの組織を壊しながら増える病気です。進行すると、血液やリンパの流れに乗って、リンパ節、もう片方の肺、骨、脳、肝臓、副腎などへ広がることがあります。また、肺は全身の血液が集まる臓器でもあるため、他の臓器のがんが肺に転移してくることも珍しくありません。

肺がんは、大きく「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に分けられます。

 

(1)非小細胞肺がん(全体の約85%)

肺がんの多くを占め、主に次の3つのタイプがあります。

 

① 腺がん

日本で最も多いタイプです。喫煙しない人や女性にもみられ、肺の外側の部分(末梢)にできやすい傾向があります。比較的ゆっくり進むこともありますが、早い段階で転移する場合もあり、進み方には個人差があります。

 

② 扁平上皮がん

喫煙との関わりが強く、太い気管支に近い肺の中心部(肺門部)にできやすいのが特徴です。

 

③大細胞がん

増えるスピードが速いことがあります。近年は検査の精度が上がり、当初「大細胞がん」と判断されても、詳しい検査で他のタイプと分かる例も増えています。

 

(2)小細胞肺がん(全体の約15%)

増殖や転移のスピードが非常に速く、見つかった時点で進行していることが少なくありません。喫煙との関係が特に強いタイプです。

 

2.肺がんによる死亡率

肺がんは、日本人のがん死亡の原因として長年にわたり第1位を占めています。厚生労働省の「令和5年(2023年)人口動態統計」によると、1年間の肺がん死亡者数は75,762人にのぼります。人口の高齢化により、死亡数そのものは増えている一方で、年齢の違いによる影響を公平にならして比べる指標(年齢調整死亡率)で見ると、肺がんで亡くなる「確率」は全体として下がる傾向にあります。全体として低下傾向にあるものの、肺がんは今なおがん死亡全体の約15~20%を占めると推定され、全がん死亡の中でトップです。なお、発生のしやすさを示す同様の指標(年齢調整罹患率)については、近年ほぼ横ばいです。

肺がんの大きな原因の一つは、ご存知のとおり喫煙です。たばこの煙に含まれる有害物質が長年にわたり肺を傷つけ、がんができやすくなります。喫煙以外では、アスベストなどの有害物質を長期間吸い込むこと、過去の肺の病気(肺結核、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、間質性肺炎など)があることも、肺がんの危険を高めると報告されています。

 

3.症状について

初期の肺がんは自覚症状がほとんどなく、気づきにくいのが特徴です。進行すると、次のような症状が出ることがあります。

 

  • 咳・喀痰:長く続く咳、血が混じった痰は注意が必要です。
  • 呼吸困難:肺の働きが低下すると、階段で強く息が上がる、深呼吸しにくいなどの症状が現れます。
  • 胸や背中の痛み:がんが胸膜や神経に広がると痛みを感じます。
  • 体重減少・倦怠感:食欲が落ちたり、疲れやすくなったりして体重が減ることがあります。
  • 声のかすれ(嗄声):声帯を動かす神経(反回神経)ががん(腫瘍)に圧迫されると、声がかすれます。

 

これらの症状があるからといって、必ず肺がんというわけではありませんが、気になる症状が続く場合には、お早めのご受診をご検討ください。症状がなくても、定期健診やがん検診、その他必要に応じた検査で早期発見を目指すことが大切です。

 

4.男女比について

肺がんは、多くの年齢層で男性の発症が女性より高い傾向があります。

厚生労働省の「令和5年(2023年)人口動態統計」では、1年間に肺がんで亡くなった方は男性52,908人で死亡率(男性)第1位、女性22,854人で死亡率(女性)第2位であり、男性は女性のおよそ2倍の死亡数となっています。

 

5.年齢層

肺がんは、年齢が上がるほど罹患率が高くなるのが大きな特徴です。国立がん研究センター「全国がん登録罹患データ(2021年)」によると、人口10万人あたりの年齢階級別罹患率は以下のとおりです。

 

40歳代   :男性 12.8人/女性 10.0人

50歳代   :男性 54.2人/女性 31.8人

60歳代   :男性 208.8人/女性 86.8人

70歳代   :男性 489.7人/女性 180.7人

80歳代   :男性 571.9人/女性 199.9人

90歳代   :男性 631.8人/女性 223.6人

100歳以上:男性 490.0人/女性 225.3人

※注:ここに示した年代値は5歳階級値からの近似(単純平均)であり、厳密な年代値は各階級人口による加重平均で算出されます。

※参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#a14 

 

50歳以降から罹患率が急増し、70~90歳代が最も高リスクであることがわかります。若年層でも発症はありますが、患者数の中心は高齢層にあります。

 

6.喫煙との関係

肺がん発症の最大の危険因子は「喫煙」です。たばこの煙には多数の発がん性物質が含まれ、長く吸い続けるほど肺の細胞が傷つき、がんができやすくなります。喫煙者は非喫煙者と比べて、肺がんになる確率が男性で約4.4倍、女性で約2.8倍高いとされています。若いころから吸っている、1日に吸う本数が多い、吸ってきた年数が長いほど、危険は大きくなります。また、非喫煙者でも、周りの人のたばこの煙を吸ってしまうと(受動喫煙)、肺がんになる危険が2~3割ほど高まります。家庭や職場など、煙を避けられる環境づくりが大切です。 

ただし、禁煙を始めれば危険は少しずつ下がります。やめてから10年経つと、続けていた場合と比べて肺がんの危険をおよそ半分まで減らせるといわれています。禁煙は、肺がんだけでなく心臓や脳の病気(心筋梗塞・脳卒中)を防ぐ助けにもなります。

予防のためには、喫煙している人は禁煙を、非喫煙者はたばこの煙を避けることが必要です。そして、なによりも定期的な健診が大切です。喫煙中の方はもちろん、過去に喫煙していた方や受動喫煙の機会が多い方も、定期的に健診を受診し、早期発見に努めましょう。

 

7.検査方法について

がん検診の最大の目的は「症状が出る前に発見して、早期治療につなげること」です。肺がんは初期には自覚症状が乏しく、発見が遅れると治療が難しくなります。定期的に検査を受けることで、早期発見・早期治療の可能性が大きく高まります。

健康診断やがん検診などで行われる主な検査方法としては、以下のものがあります。

 

(1) 胸部X線検査

最も広く行われている基本的な肺の検査です。息を大きく吸って肺をふくらませて撮影することで、肺の状態をはっきり写し出し、異常な影や結節(しこり)がないかを確認します。 

自覚症状がない段階における異常の発見に役立ち、定期健診や職場健診でも広く行われています。

 

(2) 細胞診検査(喀痰細胞診)

肺がんの危険性が高い方については、胸部X線検査と共に喀痰細胞診が行われます。

肺がんでは、がん細胞が痰の中に混じることがあるため、痰を調べてがん細胞の有無等を確認します。検査では、できるだけ朝起きてすぐの痰を、3日間続けて採取します。容器に集めるだけの、体への負担が少ない検査です。ただし、肺がんがあっても、痰の中にがん細胞が出てこないことがあり、検査で見つからない場合もあります。結果やほかの検査と合わせて、総合的に判断します。

 

8.まとめ

肺がんは初期症状がほとんどなく、発見が遅れると治療が難しくなります。しかし、定期的な健診を受け、症状が出る前に発見できれば、治療の選択肢が大きく広がり、5年生存率も大きく向上します。「自分は大丈夫」と感じていても、年齢や喫煙歴、受動喫煙などによってリスクは誰にでもあります。早期発見こそが何よりの予防です。ぜひ定期的な健診や人間ドックをご受診ください。

 

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